Weihua Z, et al., Survival of cancer cells is maintained by EGFR independent of its kinase activity. Cancer Cell. 2008 May;13(5):385-93.
概要
EGFRはそのキナーゼ活性の他に、これとは独立してグルコースの能動的取り込みに働くSGLT1の細胞膜への発現を正に調節する活性を持っている事を明らかにした。siRNAによるEGFRのノックダウンによって培養細胞でsub G1分画の増加が見られ、電顕的にオートファジーの特徴が見られた。これ等の変化はEGFRのキナーゼ活性を薬理学的に阻害た場合は見られなかった。一方、EGFRをノックダウンしても、培地のグルコース濃度を高くした場合は、上記の変化が抑制された。能動的グルコース取り込みに働くSGLT1がEGFRノックダウンによって減少している事がウェスタンブロッティングで示された。また、SGLT1をノックダウンした所、EGFRをノックダウンした場合と同様の変化が見られた。
感想
現在、EGF/EGFRシグナル系に関与する薬剤で臨床的に使用されている薬剤として、小分子キナーゼ阻害薬(TKI: tyrosine kinase inhibitor)であるgefitinibや抗体薬であるcetuximabなどが有りますが、何れも直接あるいは間接的にEGFRの受容体キナーゼ活性を阻害することが主要な作用機序とされています。しかし、in vitroでEGFRをノックダウンした場合と比較して、EGFR TKIの臨床的効果は、非小細胞肺癌のsuper responderの例を考えたにしても限定的と思えます。もちろん、in vivoではより複雑なシグナルネットワークが働いているでしょうし、本当にEGFRにaddictionしている腫瘍がどれほどあるかは現在は不明といわざるを得ませんが、この報告に有るような機序が働いているとすれば、EGFRのキナーゼ活性とSGLT1安定化活性を共に阻害する薬剤によるさらなる効果が期待できるかもしれません。現在あるようなTKIにさらにこの様な活性を持たせるのは難しいでしょうから、やはりEGFRそのもののノックダウン、または不安定化を行う様な薬剤が現実的であるのかもしれません。ともあれ、高血糖は癌患者さんでも良くは無いのかもしれません。 |