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病理学のバイブルの一つと言えると思います

 



 

Pathologic Basis of Disease 7th ed

これも洋書ですが、少し慣れれば文面を追うのに苦労はしません。非常に読みやすい教科書です。私もRobbinsを愛用していますが、学部2年生でも何とか読みこなす事ができました。和書の病理学の教科書は項目の羅列的な文体であったり、形態病理に終始していたりしやすいのですが、この本は形態病理を基本にしつつ、病態生理、分子病理と、非常にバランス良く書かれています。

また、所々にトピックとしてマイクロアレイによる乳癌の分類の試みなど、新しい病理のアプローチが掲載されており、とても面白く読む事ができます。

かなりの大著ではありますが、臨床に行っても病理学の知識は非常に重要であり、私自身しばしばこの本に立ち戻って調べる期会もあります。この本の全てを記憶に納めようとする必要はありません。むしろ、病気の概念や病理組織の表すところなど、基礎的な病理の考え方を学ぶ事が重要で、この本はそれに最適な良著であると思います。

この本では少々手に余る、という方には、よりコンパクトに纏められている Basic Pathology という本があります。上記のRobbinsを親本として、より基本的な部分に重点を置いて書かれています。この本でも学士試験には十分対応できるでしょう。親本の精神を受け継いで、病理学の精神を感じさせる本となっています。

もちろん、これらの本があれば十分というわけではありません。病理学は疾患の理解に最も重要な知識の一つであり、急速に変化しうる分野であります。実際、2002年に出版された7th edの内容の中には、すでに最先端の知見には合致しなくなってきている部分も見受けられます。しかし、この本で得られる基本的な知識は進み行く医学の知識を理解するための基礎体力となりうると考えています。

ちなみに、8th edが出版されるとの話もありますので、これを待って買われる事も宜しいかと思います。